元幼稚園教諭が一緒に考える「叱るって難しい!」お悩み

お悩み

子どもを叱る時、ついつい感情的になってしまう…。何度叱っても同じことを繰り返されて困っています…。

この記事ではこんなお悩みにお答えします。

幼稚園教諭をしていた頃、保護者や後輩保育士さんから「叱り方」について相談されることが多くありました。「叱るときは名前を呼ばない」「意図を聞く」「肯定的な言葉で伝える」この3点に気をつけていけたらいいなと思っています。

叱るって難しい

叱ると怒るの違い

怒る = 感情的のままに(腹を立てて)相手に注意すること
叱る = 相手の非を指摘、説明し、厳しく注意をすること

元々相手を「叱る」のは現状より良くなって欲しいからなんですよね。

時には「何度言ったらわかるの!?」と、思惑通りにいかなくてイライラしてしまう気持ちもありますよね
大人だって人間ですからね。

幼児は、相手の様子から本心を汲み取るのは難しいです。
怒りの感情のまま言葉を投げられると、怒られるのが怖いと感じて、どうして欲しいのか「本心」が伝わらなくなってしまいます。

叱る時に心がけること

感情を抑えて 声のトーンを抑えよう

怒ってしまうと、つい声が大きくなって冷静さを失ってしまいます。
叱る場合は、深呼吸をして感情を無にしましょう。

冷静に相手の言葉を聞き、理解できるように言葉を選んで、意識的にゆっくり少し低い声で話し方をすることで真剣さが伝わり、本心が伝わるようになります。

スキンシップをしながら伝えよう

肩に触れたり、ほっぺを撫でたりしながら話をしたり、抱っこをして話をすると自然と目を見て話を聞いてくれます。

また「怒られて怖い」ではなく、「大切なお話をしている」という気持ちで話をすることが出来ます。

叱る時に名前を呼ばない

叱る時、ついつい「◯◯!!」と呼んでいませんか?
呼ばれるたびに叱られていると用事があって呼んでもギクっとしたり、また怒られると思ってしまうかもしれません。

褒められる時に名前を呼ばれている子と、叱られる度に名前を呼ばれる子は自己肯定感の高さが変わってきます。

両親が一生懸命考えて、はじめて子どもにプレゼントする「名前」。
出来れば名前は褒める時にたくさん呼んであげたいですね。

叱る時は一対一

兄弟がいると、なおさらつい「〇〇!」と呼んでしまいがちですが…
叱る時は名前は呼ばず、そっとそばで一対一で話をしましょう

一人一人に自尊心があります。

  • みんなの前で叱られるのは恥ずかしくて悲しくて辛い。
  • 「◯◯ちゃんは出来るのに」と他の子と比べるのは✖️。
  • 「ダメな子」など人格否定する言葉は絶対に避けましょう。

いけないことをした時でも、子ども自身のプライドを守るようにしましょうね。

叱る時こそ肯定的な言葉を使おう

叱る時に「◯◯したらダメ!」「もう〜できないよ」と、ついつい否定的な言葉を使っていないか自分のよく使っている言葉を思い返してみませんか?

「何でこんなことするの!?」と大人がびっくりするようなことを子ども達は色々やってくれますが
「どうしたかったの?」「〜したかったんだ」と肯定的な言葉で一度受け止めてみてください。

一方的に話しを進めるよりも、会話形式で相手の気持ちを聞きながら話すことで本心を伝えられ、大人の気持ちも、子どもの気持ちも不思議とクールダウンされます。

否定的な言葉を言い換え例

  • 〜はダメ!〜しなさい
    = ⭕️〜したかったんだね。〜にしてみたらどう?
  • そんなこと言ったらダメ!
    = ⭕️自分が言われたらどんな気持ち? 〜って言葉にしよう。
  • 片付けできないと、おやつ食べられないからね!
    = ⭕️片付けたら、美味しいおやつの時間が待ってるよ〜

過去のことは持ち出さない

子どもを叱るときは、その場ですぐに叱るようにしましょう。

同じようなことが起きた時に「あの時も〜だったよね」と言われても、覚えていないことを叱っても全く理解できず混乱してしまいます。

こんな時はどのように叱る?

喧嘩の対応は?

兄弟喧嘩、友達との喧嘩、出来ればして欲しくないものかもしれませんが、子ども達はいざこざを通して人間関係を学び、社会性を身につけていきます。

喧嘩が出来る相手がいるのは、ある意味ありがたいこと。
小さいうちに仲直り上手になれると、相手の気持ちを理解できるようになり、今後の人生で人間関係を円滑に進める力になります。

「どうして喧嘩するの!?」「喧嘩するならそばに寄らなければいいのに」と喧嘩をすること自体を叱りたくもなりますが根本的な解決に繋がらず、本人達は気持ちを消化できないままになってしまいます。

  • 何があったの?(事実を確認、整理する)
  • どうしたかった?(思いを言葉にする)
  • どうしたらよかった?(振り返る)
  • 次はこうしていこう(今後)

この4点を順を追って、両者別々に意見を聞いていくと喧嘩の元が理解できて、解決に導いていけます。

忙しい毎日で、何度も起こる喧嘩に丁寧な対応をするのは大人も疲れてしまいますが喧嘩をやめさせるよりも、「自分の感情を言葉にする練習」だと思って少しだけ付き合ってあげてください。

何度も経験を重ねることで「こんなことが嫌だった」「じゃあこうしようよ」が自分たちで出来るようになって、コミュニケーション能力が成長していきます。

叱ってもくり返す時は?

例えば「机の上に立つと危ないよ」「お箸を持って歩いたらダメだよ」
この2つを例に、より子どもが理解しやすいのは
「どうしてダメだと思う?」
と子ども自身に考えさせる「問い」を付け加えること。

何が危険で、いけないことなのか答えを教えるのは簡単ですが、考えさせることで学習します。もし繰り返そうとしていたら「どうしていけないか、もう知ってるよね」と思い出させてあげるだけで、やめられると思います。

低年齢の場合は、「もし机から落ちたらどうなる?」「お箸が喉に刺さったらどうなる?」「痛いのは嬉しい?悲しい?」と具体例を挙げると考えやすくなりますね。

叱る時は、内容によって様々なので明確な時間を決めるのは難しいですが「なるべく本心をわかりやすい言葉で、短い時間で話をする」を心がけてましょうね。

叱った後のアフターケアは?

叱った後は、子どもも拗ねて寄ってこないこともあると思います。
なぜ叱られたのか理解をしていても整理するための時間が必要なのでそっと離れてひとりで考える時間を与えましょう。

その間に、大人は出来る限り早く気持ちの切り替えをして、引きずらないましょうね。

そして、ちょっと楽しいこと、嬉しいことを用意してあげてください。

時間があれば「おやつにしようか」「ちょっと寄り道して公園行く?」と誘ったり、「お風呂に入浴剤入れようか」「特別に絵本1冊追加で読もうかな〜」など小さな特別を用意するものいいかもしれません。

たくさんぎゅーっと抱きしめるのも愛情がいっぱい伝わります。

さっきは「いっぱい叱っちゃってごめんね。大好きだよ」と大人から素直に寄り添うと、子どもも「嫌いだから叱られてるんじゃないんだ」と感じて安心感につながります。

叱ることを避けることは優しさ?

「かわいそうで叱れない」という相談を受けることがありました。
可愛くて大切な存在だから、叱れない。

たしかに…決して傷つけたいわけではないので、悲しい顔や泣かれてしまうとと胸がぎゅっと締め付けられたり、こちらが悪いことをしている気持ちになりますよね。

でも 子ども達は身近な人に行動を正してもらいながら、理由を理解して、衝突しながらも学んでいきます。危険なことをしても、人に迷惑をかけても、傷つけても「自由」でいいのでしょうか?

かわいくて大切な存在だからこそ、より良い方向に導くことが出来る存在が親であり、身近な人(友達、親戚、保育士など)だと思います。

叱る基準を夫婦や身近な人で合わせておくと、子どもが混乱しないで済みますよ。

まとめ

わたし自身も、叱るのが苦手で言葉選びに苦戦します。

愛情を持って、子どものより良い成長を願って一生懸命向き合いましょう!

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